ホルモン補充療法(HRT)


ホットフラッシュ


ホットフラッシュはなぜ、起きる?
人はものを考える時、何かに打ち込む時、体が熱くなります。体が熱くなることは、皮膚の血管が開き、筋肉や脂肪組織が発熱して、がんばりモードになった結果です。若い間は、がんばりモードにスムーズに移行するので、多くの女性はこの変化に気づきません。しかし、気持ちを集中させて頭を使う時、人の体にはさまざまな変化が起きます。この体が熱くなる現象は、女性が更年期に近づくと、気付くようになります。世界共通でみられる閉経後の女性の代表的症状です。しかし、それが、とても不快でつらいと感じる人と、ほとんど気にならない人と、その感じ方はさまざまです。

この症状の改善に、ホルモン補充療法は、最も効果があると言われています。ホルモン補充療法は、他に、肌がきれいになるとか、膣の分泌が良くなり性生活にプラスになると言われています。しかし、ホルモン補充療法をしても、更年期の不快なホットフラッシュに関しては、全員が解放されるわけではありません。治療を始めた人の中には、逆に体が熱くなったり、胃腸症状、月経のような出血、乳房の腫れなどにびっくりして、止めてしまう方が結構多いのです。ホルモン補充療法が必ずしもホットフラッシュを消失させない理由は、ホットフラッシュには、もっとさまざまな他の因子も影響しているからです。

ここで、元にもどって考えてみましょう。女性が更年期のホットフラッシュで、つらいと思っていることは何でしょうか?
ホットフラッシュで汗をかいたり、体が熱くなった時、恥ずかしいとか、みっともないとかを感じるかもしれません。しかし、それは、耐えられない程つらいことなのでしょうか?実は、女性たちはホットフラッシュを感じた時、かなりの不快感を感じています。しかし、このつらさを見つめて、言葉にしていくことを十分にしていないかもしれません。他人に、言いたくない、言えない問題も隠れてあるかもしれません。しかし、悩む女性が、治療によりホットフラッシュから逃れたいと思うなら、医師に悩みの元を伝えて行くことが必要です。特に、男性の医師にとっては、難しい問題なので、女性からきちんと気持ちを伝えて行く必要があります。それが、女性にとって、本当に必要な良い治療へとつながると思います。

ホットフラッシュを感じた時、女性は、漠然とした不安をかんじてしまいます。この不安発作の程度は、人により内容(強度や頻度)が異なります。ホットフラッシュをよりつらいと感じる人は、この不安感が強い方ではないでしょうか?これは、むしろ、ホットフラッシュで悩む多くの方のご意見をお聞きしたいところです。

ホットフラッシュをつらいと感じる理由は、人それぞれで違いますが、その順序も違います。不安を感じると、引き続きホットフラッシュが起きる人もいれば、ホットフラッシュになると不安が募る人がいます。逆に不安から解放されて一息ついた時に、ホットフラッシュに襲われる方もいます。緊張後、安静時の方が、つらくなってしまう人もいるかもしれません。気をはっていると、ホットフラッシュは起きにくい方がいますし、逆の方もいます。このように、ホットフラッシュが、人によりさまざまである理由は、脳でつくられる感情・情動の影響を受けているからです。

体が熱くなって汗がでる、座り込みたくなる、じりじりとあせった思いがおしよせる、そして、その場にいたたまれない状態になります。強い不安感が襲われてしまい、パニック障害と言われる状態になる人もいます。これは、脳内で強く不安を感じている状態です。それでは、どうしてそれが女性に起こりやすいのでしょうか?
いろいろな考えられる原因を、想定してみましょう。

女性の生きざまとの関係を考えてみましょう。女性の生き方が多様になったとはいえ、女性は、まだまだ、他者に依存する部分が大きいです。夫に扶養されている、他者が決定権を持っている、他者を立てなければならない、生活の糧を他人に牛耳られている、嫌いなのに我慢して関係を続けている女性などに、不安発作は起こりやすいものです。もちろん、何かをがんばっているのに、評価されない場合にも、不満と不安の混じった感情で悩まされると思います。

今までの人生で経験してきたこと、解決できないこと、がまんしつづけてきたことなどによる焦燥感にかられてくるのが、この頃の女性ではないでしょうか?

ホットフラッシュの苦しさから逃れるにはどうするか?
まず、ホットフラッシュは危険なものではないことを、十分、自覚しましょう。
次は、自分自身をみつめて、克服に向けての展望してみましょう。頭で感じたストレス状態が、体の症状として出ているだけのことなので、原因がみつかれば、気持ちが救われます。いろいろ分析して、言葉で発信してみたらよいと思います。話す相手が、他人である必要は必ずしもなく、自分自身に答えをだしてあげてもよいでしょう。それぞれの人ごとに、何か見えてくるものがあれば、お互いに交換しあいたいものです。いろいろな気持ちを共有しあり、医師などその道の専門家に伝えても良いです。たとえ、男性の医師であっても、女性から的確な情報の発信があれば、経験豊富な医師たちは、理解してくれるはずです。

女性ホルモンが足らないから、こんなに不快な状態になってしまったと、憶測で考えるのは止めましょう。女性ホルモンは、閉経してからも、生命維持には十分でているのです。

他者を通じて満足を得る生きざまは、喜びを他者に依存する人生でもあります。他者から裏切られたと感じ、落ち込む危険をはらんでいます。自らの希望をあきらめ、思い通りでなくとも、それを受け入れます。理想からかけはなれた現状になげきつつ、なんとかならないかとあせります。後悔は、不安発作の元でもあります。

依存的な毎日を過ごす人ではなく、自ら、生活の軸を得て働く女性にも、不安発作は起きやすいです。特に、有能な女性は、その女性を頼りにする周りの人たちの数が多いです。今までは、がんばってきりぬけてきても、だんだん、体力、根気などが、厳しくなっていきます。そうした重圧を感じた女性たちは、不安を強く感じるようになります。

私たちは、多くを他人から学ぶものです。しかし、いずれのケースも、苦しさから解放してくれるのは、やっぱり、自分自身なのです。

 

 
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