メンタル問題


脳の性差を考える。

男女の考えや行動の違いは脳が決めています。“男女の脳は、形態的にも機能的にも、大分違いがあるようです。

左右の大脳半球を連絡するために、億単位の神経繊維が集まって通過する場所を脳梁”と言います。
脳梁”の場所と形態は、こちらです。左右の脳の連絡通路であることが、わかりやすく書かれています。この部分は、男女の差が大きい脳部分です。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%B3%E6%A2%81

女性の脳梁は、後の部分が丸くなっています。左右の大脳半球間の交換がここで起きますから、この部分が女性で太いということは、この部分を通る繊維が多いのです。女性は、左右の脳を交差させて、ものを考えます。そうした思考回路は、女性が、細かいところまで気が行き届き、言語能力がすぐれていることと関係するだろうと考えられています。

統合失調症や注意欠損多動障害などは、女性でおきにくくなっています。
前頭葉において女性は左が大きく、男性は右が大きくなっています。後頭部の頭頂葉では女性は右が大きく、男性は左が大きくなっています。
女性は多くの機能を左右脳で共有しますが、男性では分離されています。

思春期の男児に多発する統合失調症は、神経細胞のシナップス形成不全が指摘されています。父親が高齢の場合は、こどもの統合失調症が増加することが指摘されています。こうした違いを生み出す元について、考えてきましょう。

男児・女児における脳形成と、起きやすいトラブル
生下後の男児では、生後 1−3ヶ月をピークに、男性ホルモンが上昇しますが、以後は10歳まで低値となります。男性は、アロマターゼ酵素によりアンドロゲンからエストローゲンが作られます。男性脳をつくるのは、エストロゲンですが、男性の脳は、3期に分けて作られます。

1)1回目は胎児期に男性ホルモンの「シャワー」を浴びる時に男性型の脳がつくられます。男の胎児では妊娠8週から24週の間に男性ホルモン(アンドロゲン)が増加し、その後は生下時まで低下となります。

2)2回目の男性化は、出生後半年の期間であり、何かの形成が体内で行なわれているようです。

3)3回目の男性化は、外見上も明らかに男性化が進む思春期です。再び男性ホルモンの分泌が盛んになり、男性がつくられていきます。男性は、体型、体格的にも、女性をはるかに超えていきます。さらに、女性は思春期早期に体格の発育が止まりますが、一方、男性は、体力、知力共、伸び続け、一生を通じてその優位性は変わりません。

このように、男女の脳は、異なる機能を持つように作られていきます。

精神障害に関係する遺伝子の21.1%はX染色体に存在します。X染色体連鎖性の精神遅滞などの疾患は、女性で起きにくくなっています。

男児に 「ADHD(注意欠陥多動性障害)」 が多い理由として、性染色体との関係(X染色体が1本)が指摘されています。女性では、X染色体が2本あるので相補的に働きます。1方の染色体の機能が悪い時は、他方が助けます。男性では、染色体の一方に障害が生じても、他方が存在しないので、機能修復に至りません。

パーキンソン病は、中脳のドーパミンの不足によりおきますが、男性は女性の2倍起き易くなっています。その原因はX染色体上の関連遺伝子、エストロゲンの脳細胞保護作用などが考えられています。(J Neurol Psychiatry 2004,March

男女脳の特徴
女性の脳は、同時にいろいろなことを考え、まとまりにくいようです。女性は、体のこと、家族のことなどいろいろ心配し、同時に別の作業をこなして、日常を過ごします。そして、女性は、不安感を感じやすいようです。

一方、男性脳は、一般的に理論的で、空間認識に優れ、散漫な思考を嫌います。男性は、戦闘場面において、恍惚感を感じることがありますが、女性ではそうした反応は起きにくいと考えられています。こうした男女の脳の嗜好の違いは、年少時の男女の遊びの違いにも現れています。

パニック障害という病気は、胸が苦しくなったり、どきどきするなどの症状が突然、起きてくる病気です。一度、こうした症状が起きると、次に、同じようなことが起きるのではないかの不安がたかまります。本人にとっては、単なる“思い過ごし”とか“気のせい”で片付けられなくなります。

最近の考え方によると、セロトニンなど脳内細胞を動かす物質(脳内伝達物質とよぶ)の調節がうまくいかないために、症状が起きるのではないかと考えられています。脳内伝達物質欠乏には、薬があります。

女性に多い病気
パニック障害は、女性に多く、若い人から更年期に多くみられます。軽いうつ状態を伴うことがあります。アメリカ精神学会によるうつ病の定義では、うつ病の範疇が広がっています。うつ病の生涯罹患率はかなり高いものです。うつ病の人は、ぐるぐる廻りの思考を持つ傾向がありますが、自ら抜け出る事のできる人は、重症化が避けられます。

.パニック障害も、トレイニングなどにより抜け出すための治療法があります。
初回のパニック障害は、“思いもかけず起きてしまう”ことがきっかけとなりますが、その後は、同じことがおきるのではないかの不安が強くなります(これを予期不安という)。

例えば、通勤電車の中で、不快なイベント(息が苦しくなる、失神しかかる、ドキドキしていたたまれない)などがおきると、その後、電車にのるのが苦痛になるのです。
鑑別診断  心筋梗塞、狭心症、気管支  炎喘息、メニエール病
実際につけられる病名 自律神経失調症、心臓神経症、過換気症候群、上室性頻拍、狭心症、メニエール病、過敏性腸症候群
その本態は、発作性にくりかえされる自律神経症状です。

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